1つ1つの卵子を大切に。

受付からも正面に見据えることができるように、当院の培養室はクリニックの中心に位置しています。
これは培養の仕事がいかに大切であるかを示しています。

自然/低刺激周期をメインに行っている当院では、ご夫婦からお預かりする卵子の数は決して多くはありません。
その分、卵子の成長を1つ1つ丁寧に、なおかつ卵子が余計なストレスを受けずに発育できるよう「見守る」という想いでお預かりしております。

初めて体外受精を受けようと思われている方も、今までの治療でなかなか結果がでておられない方も一度私達に卵子をお預けいただけませんか?

1.培養士の仕事

クリニック内で白衣と青い服を着たスタッフ。
その人物こそ私たち培養士です。
体外受精をするにあたって体の外に取り出した卵子をお預かりし、受精のお手伝いや、子宮に戻すまでの間の発育を毎日見守ることが私たちの仕事です。

主役は卵子です。私たち培養士は、その卵子が元気よくのびのびと発育できるように、また元気な状態で皆様の子宮へ戻れるようにバックアップをしています。妊娠の成否を握る非常に重要な仕事です。全てをお見せすることは出来ませんが、その一部をご紹介させていただきます。

培養液の準備

患者様の通院が始まっても、しばらくは私たちと接する機会はありません。しかし採卵日に向けて様々な準備を行っています。そのひとつが培養液の準備です。培養液は卵の栄養となり、その品質は成長の善し悪しを左右するものになります。これからお預かりする卵子のために、ひとつひとつ心をこめて準備しております。

卵子を取り出す採卵

患者様の卵巣で大きく育った卵胞から、卵胞液を吸引します。

卵胞液から卵子を探し出し、患者様ひとりひとりに準備しておいた専用デッシュへ移し、培養室にてお預かりします。
基本的には無麻酔で行いますので、患者様は採卵前後共に自力で歩行が可能です。また麻酔の副作用による危険もないので長時間の安静も不要です。
  • Q&A

  • ・採卵は痛いの?
    人によって痛みの感じ方は違いますが、採血時に使用する針と同じ細さの針を使用するので、痛みは全くないか、あっても軽度です。
    ・どのくらいの時間がかかるの?
    採卵室に入ってから出るまでで採れそうな卵子が1個なら平均約7分、2個なら約8分です。

卵子の状態確認

培養室にお預かりした卵は、すぐに高倍率の顕微鏡で状態確認をします。
卵子の成熟状態が今後のスケジュールに影響しますので非常に重要です。
  • Q&A

  • ・未成熟の卵子はどうなるの?
    未成熟な卵子は精子と一緒にしても、うまく受精できません。
    成熟培養をして成熟が完了するのを待ちます。
    その後成熟することも多く、成熟状態で採れた卵子のように発育していく可能性があります。

精子の状態確認・精製

卵子が確認できましたら、ご主人様より精液をお預かりし、精製を行います。
精液の状態、濃度は運動率は日によって変動しますので、各データを毎回必ずチェックします。

密度勾配遠心法、形の良くない精子や動いていない精子を取り除き、良好精子を集めます。この操作の事を精製といい、30~45分程かかります。
  • Q&A

  • ・ 夫が採卵当日に一緒に行けない場合どうしたら良いの?
    以下の2つの方法があります。
    1.採卵当日、ご自宅で採精していただき、奥様に持って来ていただく方法
     (ただし採精後3時間以内にお持ちください)
    2.採卵前日までに精子の凍結保存をしておく方法
    詳しくは来院時にご相談ください。
    ・ 禁欲はどれくらいが良いの?
    一般的には3-5日程度と言われていますが個人差が大きいです。
    禁欲期間が長すぎるのもよくありません。

卵子と精子を出会わせる媒精

卵子と精子を出会わせる事を媒精といいます。



  • 精子を卵子にふりかけます。
    精子が自力で泳いで卵子に到達し受精します。

  • 形・動きが良い精子を針で捕まえ、
    卵子に直接いれます。
実際の動画をご覧ください。

培養士と直接相談していただき、どちらの方法でするのかを決めます。
媒精は採卵した日のうちに行います。

  • Q&A

  • ・ どちらの方法が良いの?
    卵子も精子もひとつひとつ状態は異なります
    それぞれの状態を見ながら、最適な方法を提案させていただきます。
    どちらの方法か希望があればご相談下さい。

胚の発育

卵子と精子を出会わせる日をday0として発育を見ていきます。
朝、夕 適した時に観察し、胚の発育状況に合わせて培養液を交換します。

Day 1 受精が見られます。卵子と精子が確実に出会えたことを意味します。
卵子は受精後、胚(はい)と呼びます。
Day 2 4細胞になります。
胚それぞれの個性が見えて来ます。
凍結 移植
Day 3 8細胞になります。
Day 4
細胞同士がくっつき桑実胚と呼ぶ頃です。
細胞数ははっきりしません。
Day 5
(Day 6)

(Day 7)

桑実胚の内側に空間が確認できたら胚盤胞と呼びます。胚全体が大きく膨らんできます。胚盤胞に発育する時期は、Day5~Day7と胚によって発育速度は異なります。
凍結 移植

移植

お預かりしていた胚を子宮に戻すことを移植といいます。
採卵を同じ部屋で行い、所要時間10分程度です。
当院では人為的な多胎妊娠を防止するため、移植する胚は必ず1個(単一胚移植)としております。


ベットの横にある顕微鏡で移植直前の胚の状態を確認し、カテーテルに胚を吸い込みます。
その様子はモニターでご覧いただくことが可能です。

  • Q&A

  • ・尿を貯めた状態で移植するって本当?
    お腹から超音波で診る経腹超音波ガイド下で行う方法では貯める必要がありますが、当院の移植は経膣超音波ガイド下にて移植を行いますので、尿を貯めておく必要はありません。また経膣の方が移植する位置をしっかり狙うことができます。

胚の凍結

採卵周期に移植しなかった元気な胚はすべて凍結保存します。
胚が着床できる時期は限られており、その時期を逃してしまうと、どんな元気な胚でも着床出来なくなってしまいます。
胚とお身体のタイミングを合わせベストな移植をする為にも胚の凍結保存が非常に重要です。



凍結は刻一刻と変化する胚の状態を見ながら行うとてもデリケートな操作技術で、当然ながらそれは私たちの腕にかかっています。凍結・融解したあとも元気な状態の胚として移植できるように、どんな胚をどのタイミングで凍結するかといった判断も含め、多くの経験を生かした凍結技術を提供させていただいております。(当院における凍結・融解後の胚盤胞生存率は98%です)

  • 液体窒素(-196℃)の中へ素早く入れ一気に冷却することで凍結します。

    凍結完了後、タンクに保存します。どの患者様のどんな胚をどこに保管しているか、発育経過の情報と共に徹底的に管理しています。

2.培養室の安全対策

ダブルチェック
胚や精子を扱う操作の際は、必ず2名で確認してから行います。
カルテなどを見ながら患者様の名前をお互いに復唱することで視覚と聴覚でチェックしています。
入室
静脈認証システムによって、入室可能なスタッフが限られています。
アラートシステム
夜間、培養士がいなくなります。その間、培養器の温度やガス濃度に異常があった場合、メールで胚培養士へ教えてくれます。
いつでも培養室にかけつける体制を整えています。
補助電源
電気が使用できない際は、培養室独自の補助電源に切り替わり、胚の培養環境の維持に努めます。
地震対策
転倒防止策として、培養器を壁に固定しています。
胚・精子を保存しているタンクは揺れによる移動・転倒を防ぐためチェーンをつけて止めています。

3.培養士の紹介

採卵後や移植前など私たちが患者様とお話させていただきます。
わからない事がありましたら、お気軽にお声かけください。