ナチュプレチェック(妊娠ドック)での新しい試み
2017 / 10 / 06

医師のHです。

 

10月から始まりましたナチュプレチェックでは、1回の診察でできるだけ情報を得て、それをわかりやすくお伝えするということを重要視しています。

 

その一例が超音波検査です。

 

超音波検査では子宮、卵巣の状態を確認しますが、5分ほどの診察で色々なことがわかります。

 

子宮:形、向き(前屈、後屈)、内膜の厚さ、子宮ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症
卵巣:卵巣の位置、卵胞の数、主席卵胞の大きさ、卵巣嚢腫

 

ざっと挙げるだけでもこれくらいはあります。
そのなかでも、よくできる子宮筋腫を例に挙げてご説明します。
これは子宮筋層にできる筋肉のこぶですが、その大きさ、数、位置は人それぞれであり、妊娠の妨げになるものから気にしなくてよいものまであります。

 

通常の診察では超音波写真をお見せしながら説明を行いますが、時間が経つと
 どこにあったかな?
 何個だったかな?
 何センチだったかな?
と思い出せなくなることも多いと思います。

 

そこで、ナチュプレチェックでは、子宮卵巣のイラストを用意し、そこへ図示してお示しし、さらに横にコメントを記入することにしました。

 

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後から見直してもわかりやすいように。
その点を心がけています。

 

妊娠を考えたらナチュプレチェック!
まず知ることから始めましょう。

ナチュプレチェック(妊娠ドック)のご案内
2017 / 09 / 22

医師のHです。

 

本年10月から、神戸元町夢クリニックではナチュプレチェック(妊娠ドック)を開始いたします。

 

ナチュプレチェックとはnatural pregnancy checkをNatupre checkと略した当院独自の言葉で、自然妊娠を期待してよいかを調べる健診です。

 

「数ヶ月タイミングをとったけど妊娠しない」
「妊娠前に今の状態を知りたい」
といったお悩みを解決したり、
「気軽に受診したい」
「夫婦で一緒に受診したい」
といったご希望に沿った健診です。

 

カップルで一緒にに受けていただく、妊娠することを目的にした健診は珍しいと思います。
料金は基本コースが税込31,130円(税抜き 28,300円)です。
各種保険の適用はなく自費となります。

 

1回の診察で、今の状態をかなりの部分知ることができます。
検査内容も明瞭にしています。
今まで婦人科や不妊クリニックは受診しづらいと思われていた方は、どうぞお気軽に受診してください。
お二人の赤ちゃんが欲しいというお気持ちに専門的な知識で寄り添えるスタッフが揃っています。

 

ただし、健診を受けていただける方には条件を設けています。
・カップルで受診し、カップルで結果を共有できる方
・女性の年齢が34歳以下

 

お二人の赤ちゃんを得るための検査ですから、検査結果は共有していただきたいと思っており、男性女性単独での健診はお控えください。

 

また、女性は年齢が進むと妊娠率が下がります。
35歳以上の方で妊娠しにくいと感じられる方は、継続的な検査や治療が必要と考えていますので、健診でのチェックはお控えいただき、当院初診外来を受診いただきますようお願いいたします。

 

予約可能日については、以下の通りです。
 平成29年10月3日(火) 13時30分
 平成29年10月6日(金) 13時30分
 平成29年10月9日(月) 13時30分
 平成29年10月16日(月) 13時30分
 平成29年10月17日(火) 13時30分
 平成29年10月23日(月) 13時30分
 平成29年10月30日(月) 13時30分
 平成29年10月31日(火) 13時30分

 

所要時間はおおよそ1時間です。
お電話での受付のみになりますので、ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 ナチュプレチェック案内状ダウンロード(PDFファイル)

患者様とのお話
2017 / 09 / 16

培養のSIです。

 

神戸元町夢クリニックでは患者様と胚培養士が直接お話する機会があります。

 

受付に直接お声がけして頂くか、受診の際の記入用紙にお話希望の旨をご記入頂ければ、採卵後や移植前以外でも、胚培養士との相談が可能です。
卵子や精子について分からないことやご不安なことがあれば、遠慮なさらずにぜひこの機会を活かしてください。

 

私たち胚培養士は「タマゴのプロ」です。
偉そうな言い方になってしまいましたが、「タマゴのプロ」であり続けるための努力として、以前のブログ記事でもご紹介しているように、積極的に学会に参加して勉強しています。
それに何より毎日たくさんの卵子や精子に触れることで、日々経験を積んでいます。

 

お話させて頂ける胚培養士は何人かいます。
それぞれに個性があるかとは思いますが、胚のことを思う気持ちは皆同じですので、いつでもお声がけして下さいね。

リカレントセミナーに参加して
2017 / 09 / 10

培養のIです。

 

先日、岡山大学主催の生殖補助医療技術者のためのリカレントセミナーに参加してきました。

 

私は今回、近畿大学の三谷匡先生、大阪市立大学の加葉田大志朗先生の講義を受講させていただきました。

 

三谷先生からは、卵や精子のもととなる生殖細胞がいつごろ現れ、卵子または精子がどのようにつくられかについて教えていただきました。
生殖細胞の起源や成り立ちについては学生時代に勉強してきましたが、最新の知見も含めて知ることができ、自身の知識を再確認することができました。

 

加葉田先生からは、統計学について実際に統計ソフトを使って、統計学の基礎と統計解析の方法について教えていただきました。
統計学は独学で勉強し挫折の連続でしたが、今まで疑問に思っていたことをわかり易く説明していただけたので、統計に対する苦手意識が改善されたと思います。
学会発表や論文作成では統計学的な解析が必ず必要になるので、今後の研究やその成果の発表に活かしていきたいと思います。

胚盤胞から細胞を取らなくても着床前診断が可能になるかも?
2017 / 08 / 31

院長のKです。

 

 体外受精の技術は、イギリスで開始された約40年前に比べ格段の進歩を遂げてきました。
日本で最初の体外受精児が誕生した1983年当時は、体外受精を行っている施設は国内数カ所の大学病院に限られ、胚培養のための培養液も手作りでした。
もちろん胚培養士という概念も存在せず、産婦人科医が出産や手術や外来診療の合間を見つけて自分で受精や発育状態の観察を行っていました。
私も日曜日の午後に閑散とした大学病院の研究室で上司の先生と一緒に培養液の調整や胚の管理を行っていました。
いつかは工場で製造された培養液がクール宅配便で届く時代が来るのかなあ等と妄想していましたが、そこからそう遠くない時期に実際に市販の培養液が手に入るようになり、私たち生殖医療に携わる側の負担がずいぶん軽減されました。
40年の歴史の中で、体外受精業界を劇的に進歩させていったブレークスルーとしては、
 (1)排卵誘発技術、
 (2)経腟エコーによる採卵、
 (3)顕微授精、
 (4)胚盤胞培養、
 (5)ガラス化凍結法、
この5つが挙げられると思います。
細かな技術の革新ももちろん大切でその積み重ねで現在の体外受精が成り立っていますが、この5つの技術により体外受精・胚移植が再現性のある治療技術として確立されていったと思います。
自在に排卵誘発ができなかった頃は、自然排卵のタイミングに合わせ、真夜中に手術室で全身麻酔下に腹腔鏡手術で採卵することも必要でしたし、凍結技術が不安定な時代は沢山の受精卵が移植されないまま廃棄されていました。

 

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 さて今後体外受精の分野でどんなブレークスルーが考えられるでしょうか?
一つはすでに諸外国で先行して実施されている胚の着床前診断が挙げられると思います。
形態的にはきれいな胚盤胞になっても、その半分以上は染色体数の異常が認められ、移植しても着床しないかあるいは流産してしまう可能性のあるものがあることがわかってきました。
着床前診断が普及すると移植する前にあらかじめ胚盤胞からいくつかの細胞を採取して染色体数を分析した結果、正常に発育する可能性の低い胚は移植しないという選択肢ができることになります。
しかし、この技術は性別の判定などにも応用できてしまうため、日本国内では産科婦人科学会のレギュレーションの中で実施症例が限られており、ご夫婦のどちらにも遺伝的な問題の無いカップルにスクリーニング検査として実施することはまだ認められていません。
おそらくそう遠くない将来、日本でも規制が緩和され希望があれば実施できるようになるはずです。
この検査が可能になると、今までは見た目や発育スピードで胚のグレードを評価していたものが、染色体数の異常の有無という全く別のパラメーターが加味され評価されるようになり、移植あたりの妊娠率は上昇し、流産率が大幅に低下すると考えられます。
今までだと複数の胚が得られた場合、凍結胚を作り、形態的に良好なものから順番に移植していくのが一般的でしたが、染色体異常の可能性が高い胚については移植をせず、その分妊娠しないでがっかりする、あるいは流産による精神的肉体的負担が軽減されることになります。
ただし、先行している米国や欧州の着床前診断の状況を見ると、我々が期待していたほぼ完璧な移植胚の選別という状況とはほど遠く、正常と診断された胚盤胞の移植あたりの出産率はせいぜい50~70%程度で、検査の結果も正常、異常の白黒がはっきりつくものでもなく、たとえば“染色体の一部分の領域が調べた細胞の60%で欠損していますが残りの40%の細胞ではおそらく正常です”といったようなどう判断して良いかわからない結果が多数含まれ、「これなら検査しないで移植していた前の時代の方が悩まない分良かった」等という笑えない感想を漏らす方々もいらっしゃるくらいです。
でも有力な移植胚選択のツールになることは誰も疑う余地はないでしょう。

 

そもそも今行われている着床前診断はどのようなものでしょうか?
着床前診断と言っても、ご夫婦のどちらか、あるいは双方に遺伝的な疾患あるいは遺伝的な異常保因がある場合、受精卵にその疾患を引き起こす遺伝子配列の異常の有無を調べる狭義の着床前診断と、ご夫婦とも遺伝疾患はないが、受精卵に染色体数の異常などがないかを調べる広義の着床前診断の2つがあります。
この2つは検査の意味も検査手法も全く異なる別物と考えていただく必要があります。
着床前診断というとなぜかこの2つが混合された状態でディスカッションされることが多いので非常に誤解を招きます。
既知の遺伝性疾患を回避するための着床前診断は、その特定部位の遺伝子配列を非常に細かく検査する必要がありますが、すでにどの場所を検査すれば良いのかわかっているので、その部位を集中的に検査する事になります(ついでに他の染色体数の異常等がたまたま見つかってしまうことももちろんありますが)。

 

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特定の疾患を想定しない、染色体数の異常のみを検査するいわゆるPGS(preimplantation genetic screening)あるいはPGD-AS(preimplantation genetic diagnosis for aneuploidy screening)においては、常染色体22組と性染色体2本がそろっているかどうかを確認するだけなので、検査方法はかなりラフになります。
検査はNGS(next generation sequencer)という遺伝子配列を読んでいく機器を使用しますが、全部の遺伝子配列を読むわけではなく、各染色体に特徴的な配列のある部分の細かい断片を解析しパズルのように組み合わせて染色体数の異常を調べる方法で、実際に解析している領域は遺伝子配列の1%以下になります。
この方法ではいわゆる遺伝病の特定はできず、染色体数の増減と比較的大きな領域の転座などがわかるだけになります。

 

この染色体数の異常を見る着床前診断のためには胚盤胞から5個くらいの細胞を採取してDNAを抽出し、WGA(whole genome amplification)というDNAの増幅過程を経てNGSで遺伝子配列を読み、コンピュータで染色体数を解析しています。
DNA抽出のために、現在は胚盤胞から将来胎盤になる部分の細胞を採取していますが、最近、胚盤胞培養を行った培養液中にも胚盤胞の遺伝情報を反映したDNAの断片がにじみ出ていて、そのDNAを利用した着床前診断ができるのではないか?という報告がいくつかの研究者から出されてきています。
胚盤胞から直接細胞を取る手法に比べ、まだ精度的な問題があるようですが、WGAの手技の改善で精度が上昇するという研究もあるようで、今後の展開が期待されます。
培養液をサンプリングするだけの非侵襲的な検査方法ですので、この方法がもし確立されれば大きなブレークスルーになるでしょう。
その次の技術革新は、iPS細胞等の自己細胞由来の幹細胞からの精子、卵子の作成になるのでしょうか?
それが可能になる頃には私も現役を引退してNHKニュースでその偉業を知ることになっているかもしれません。